漂う停滞感 花王の成長ストーリーは?
花王の株価低迷は、投資家が成長する姿を描けないことが理由かもしれません。売上高はほぼ横ばいの状況で、改善が見られた営業利益率も近年は下落が続いています。
【売上高と営業利益の推移】
花王に成長ストーリーはあるのでしょうか。同社は2023年8月、2027年度までの中期経営計画「K27」を発表しました。ROIC(投下資本利益率)経営の導入や構造改革で成長を目指す計画です。
【中期経営計画(~2027年度)の財務目標】
2022年度(実績) | 2027年度(目標) | |
ROIC(投下資本利益率) | 7.8% | 11%以上 |
EVA(経済的付加価値) | 147億円 | 700億円以上 |
営業利益 | 1101億円 | 過去最高の更新(※) |
海外売上高 | 6745億円 | 8000億円以上 |
※過去最高は2019年度(2117億円)
出所:花王 決算説明会資料
花王は成長領域とみなす3事業(スキンケア、化粧品、ケミカル)のグローバル展開、およびパートナー企業との提携を通じた新事業領域への進出で目標の達成を目指すとしています。借り入れも視野に、成長領域や新事業へ集中的に投資するとの資本計画も明かされました。
当面は事業再編を含む構造改革を優先し、競争力の強化に努めるようです。花王によれば改革の効果は2024年から発現し、2025年以降300億円の利益改善効果が継続するとしています。
花王は復活できるのでしょうか。注目する投資家は少なくないでしょう。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)