日立製作所に投資家の目が集まっています。株価は2023年9月末で9275円と3年前(3543円)の2.6倍に値上がりしました。業績も好調で2023年3月期は最高益を更新しました。2024年3月期は減収減益の予想ですが、投資家の期待は高いようです。

【日立製作所の業績】

  売上高 純利益
 2022年3月期  10兆2466億円   5835億円
 2023年3月期 10兆8812億円 6491億円
 2024年3月期(予想)  8兆8000億円 5000億円

※2024年3月期(予想)は同第1四半期時点の同社の予想

出所:日立製作所 決算短信

【日立製作所の株価(2020年9月~2023年9月)】

出所:Investing.comより著者作成

日立製作所は市場評価性の高さから「JPXプライム150指数」の構成銘柄に選ばれています。同指数は「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに、2023年7月から算出される比較的新しい指数です。

日立製作所はグループの再編を経て安定成長を目指す変革期にあります。好調な株価はこの改革が評価されたのかもしれません。

日立製作所はどのような改革を行っているのでしょうか。歴史から振り返ってみましょう。

選定進む「日立の樹」 御三家は全て離脱

日立製作所は1920年に設立された企業です。もともとは久原鉱業(現・JX金属)の日立鉱山に設置された工作課として1910年に誕生しました。外国製が主流だった鉱山機械を自作するようになり、社外向けの販売も増えたことから企業として独立します。

日立製作所は巨大なグループを形成することで知られます。連結子会社の数は一時1000社を超えました。「この木なんの木」の歌でおなじみの、たくさんのグループ会社を紹介するテレビCMも有名です。

しかし日立製作所は現在、グループの縮小が進んでいます。連結子会社の数は2023年6月末までに688社まで減少しました。

きっかけは2008年度に計上した巨額損失です。リーマンショックなどの影響で7873億円もの最終損失を計上しました。日立製作所の歴史で最悪の数字だとみられており、これを機に非コア事業の切り離しが進められるようになります。

「日立御三家」と呼ばれた日立化成工業、日立電線、日立金属もグループから姿を消しています。日立化成工業は2008年にグループから独立し、日立電線は2013年に日立金属に吸収され消滅しました。その日立金属も2022年に買収されグループから離脱しています。