ロシアとウクライナに続き、イスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃により、原油価格が上昇しています。この記事では、原油価格が株価や経済に与える影響や、米国の原油関連企業について解説します。

原油価格が上昇

10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃は、原油価格を押し上げました。

国際的な原油の先物価格は、イスラエルへの攻撃とイスラエル軍の報復作戦の影響を受け、週明けの9日(月)に前営業日比4%高の86ドルまで上昇したのです。

今回のハマスの攻撃にはイランの関与も注目されており、原油価格の上昇に寄与しています。イスラエルとパレスチナは主要な産油地域ではありませんが、イランの関与が確認されれば、原油供給に制約が生じる可能性もあるからです。ただ、サウジアラビアは原油価格の高騰に備えて増産の準備を進めています。今後は世界有数の産油国であるサウジアラビアやUAEの動向に注目です。

欧州や米国では、原油高に伴い燃料の小売価格が上昇しています。もし原油価格が長期間にわたって上昇し、節目の1バレル100ドルを超えれば、各国は物価上昇を抑えるために大幅な利上げを進める必要があります。

この状況はインフレ懸念を高めるものです。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、エネルギー価格の高止まりが消費に影響を与え、消費者の物価予想にも波及する可能性があると語りました。各国は燃料税引き下げなどの財政措置を検討して、消費者の負担を軽減する方策を模索するでしょう。燃料価格の上昇は来年の米大統領選挙にも影響を与える重要な問題となっています。バイデン大統領は価格引き下げを約束していますが、具体的な方法についてはまだ言及していません。

原油価格と株価

日々の原油価格の動向が株式市場に大きな影響を与えることはありませんが、価格が大きく変動すると注意が必要です。大きく上昇するとインフレや地政学リスクが高まり、大きく下落すると景気減速が懸念されるからです。また、世界的な新型コロナウイルスの影響で、2020年4月には異常な状況が発生しました。原油価格がマイナスになり、市場に驚きをもたらしたからです。原油価格のマイナスは一時的なものでしたが、原油需要が一気に減少し、石油の保管コストの上昇が懸念され結果、原油価格のマイナスという事態を招いたのです。