経営者の交代は企業生命を脅かすことがあります。大塚家具は2015年に創業者から子へ引き継がれました。しかし業績不振に陥り、2019年にヤマダホールディングスに買収されます。そして2022年に消滅しました。

大塚家具はなぜ姿を消すこととなったのでしょうか。経緯を振り返ります。

骨肉の争い後に経営不振 43億円で買収される

大塚家具では2014年頃から創業者の大塚勝久(おおつか・かつひさ)氏と娘の大塚久美子(おおつか・くみこ)氏が経営権を巡って対立するようになりました。勝久氏が高級路線を目指す一方、久美子氏はミドル層をターゲットとするなど、経営の考え方の違いが内紛につながったとみられています。

対立は先鋭化し、両氏は互いに退任を求める議題を2015年3月の株主総会へ提出しました。議決権の保有割合は拮抗(きっこう)していたため、上位株主を巻き込んだ委任状の争奪戦へと発展します。

争いを制したのは久美子氏でした。大塚家具は従来の高級路線から脱却し、中価格帯の商品を扱うようになります。しかしビジネスモデルの転換はうまくいかず、大塚家具は大幅な赤字を計上するようになりました。株価も経営権が久美子氏に移る前の水準を割り込んで値下がりします。

【大塚家具の純利益】

出所:大塚家具 有価証券報告書より著者作成

経営不振に陥った大塚家具は2019年12月、ヤマダホールディングス(当時はヤマダ電機)を引受先とした第三者割当増資を実施し43.7億円を調達します。議決権の過半をヤマダホールディングスが握ることとなり、大塚家具は子会社化されました。