米国内の金利や株価だけでなく、日本株等多くのマーケットにその影響力が及ぶため、世界中の金融関係者が動向を注視しているといっても過言ではない、「FOMC(連邦公開市場委員会)」。投信投資家にとっても、自身の資産へ与える影響から、FOMCがどのような組織で何を目指しているのか知っておくことは重要です。

話題の書籍『FRBの仕組みと経済への影響がわかる本』では、FRBの仕組みや役割、そして世界経済への影響について、金利為替市場コメンテーターの工藤浩義氏がやさしく解説。今回は本書第1章「FRB(連邦準備制度理事会)とはどのような組織で、何を目的にしているのか」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第2回:世界中の投資家が注目するFRB―なぜこれほどに影響力があるのか

※本稿は、工藤浩義著『FRBの仕組みと経済への影響がわかる本』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

会合は年に8回開かれる

FOMCとは「Federal Open Market Committee」(連邦公開市場委員会)の略称であり、FRBが金融政策を決定するために年8回開催する会合のことを指します。

このスケジュールはあらかじめ公表され、誰でもFRBの公式ウェブサイトで確認することができます。FOMCは、FRBの最高意思決定機関であり、金融政策に関する意思決定を行うために開催されます。

FOMCの会合は、一般的に2日間にわたって行われます。初日は経済分析と金融政策の議論が行われ、翌日に金融政策の決定が発表されます。

FOMCの決定は、FRBの政策金利や量的緩和政策など、金融政策に大きな影響を与えることになるため、市場参加者にとってはとても重要な情報です。FOMC声明文やメンバーの発言は、今後の金融政策の方向性を予測する材料となるため、市場の動向に大きな影響を与えるからです。

市場関係者は、この会合スケジュールに基づいて投資戦略を立てることができます。このため、市場関係者だけでなく、広く、経済アナリストや投資家、報道関係者、そして一般の人々にとっても注目される重要なイベントです。

臨時の会合も開かれる

FOMCの会合が開催されるのは、こうした通常のスケジュールに限るわけではありません。緊急事態や予期せぬ経済状況に対応するために、FOMCは臨時会合を開くことがあります。

実際に2020年3月3日、FOMCの臨時会合が開催され、政策金利を0.5%引き下げることが決定されました。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済への影響に対応するためでした。

日銀やECB(欧州中央銀行)の金融政策を決定する会合も、FOMCとほぼ同じ年間スケジュールで予定が組まれます(下図)。

2023年 米欧日の経済会合スケジュール

これは、市場参加者をはじめ、広く一般に政策の透明性を高め、予測可能性を向上させる目的があるものと考えられます。

また、各国経済が密接に結びついている現代のグローバルな金融市場において、各国の政策当局が連携し、政策調整を円滑にして政策効果を高める狙いがあるものと想定されます。