参加メンバーが「タカ派」か「ハト派」かが重要

FOMCの政策を読み解くうえで、「タカ派・ハト派」が重要なキーワードになります。FOMC参加メンバーの金融政策に対する基本的なスタンスとして、誰がタカ派で誰がハト派なのかを知っておくことが重要になるのです。

タカ派とハト派とは元々政治用語で、ざっくりいうと武力行使について積極的で強硬な考えの人々をタカ派、逆に武力行使に慎重で、より穏健な考えの人々をハト派といいます。

金融用語として使われる場合は、タカ派は「金利を上げ、物価上昇を抑えて景気過熱を防ぐことを重視」し、ハト派は「金利を下げ、物価上昇は容認しながら景気刺激を重視」する、といった違いがあります。

タカ派・ハト派の違いは、FRB執行部として議長が提出する議案に賛成・反対の投票をすることができる12名について知ることはもちろんですが、残りの投票権のない地区連銀総裁7名の参加者についても知っておく必要があります。

ドットチャートと参加者の考え方で様々な予想ができる

参加者について知るべき理由は、年4回出される「FOMC経済見通し」(SEP)を読む際に役立つからです。

「FOMC経済見通し」については、その中では「実質経済成長率」「失業率」「物価上昇率」「政策金利」について、FOMCに参加する19名がそれぞれ回答した予想値が公表されます。

予想の対象となるのは今後3年間の各年末の数値と、それを超える長期の数値です。

とくに重要なのが、「ドットチャート」という形で市場関係者やメディアに毎回注目される「政策金利」の予想です。これはフェデラル・ファンド・レート(FFレート)と呼ばれる短期金利で、通常「FRBの利上げ・利下げ」としてメディアで報道される金利です。

ドットチャートは、どの金利水準を19人のうち何人が予想しているのかを点で示したチャートで、3年後までの毎年年末の予想がどう変わっていくか読み取れるようになっています。

これに、誰がハト派で誰がタカ派かを考え、参加者を個別に当てはめると、目先の政策変更についてFOMC内の話し合いが一致しているのか、そうでないのか、そうでない場合はいくつに割れているのか、などが見えてきます。

それをもとに今後の政策変更を予測するのです。

『FRBの仕組みと経済への影響がわかる本』

工藤浩義 著
発行所 日本実業出版社
定価 1,980円(税込)