新婚早々に生じた小さな疑念

王子様に対する小さな疑念が生じたのは、結婚した翌月のことでした。

新居の賃貸マンションの初期費用や家電、家具などの購入費用は義父が全部出してくれました。それもあって、家賃や光熱費は彼が払ってくれることを期待していたのですが、いきなり、「支払い頼むよ!」と言われました。それだけではなく、日々の食費も全部私持ちです。

エンジニアの彼には技能手当もついていて、アシスタント職の私よりはるかに多くの給料をもらっているはずなのになぜ? そんな言葉が口から出そうになりましたが、新婚早々ことを荒立てるのも良くないだろうと考え、心の中だけに抑えてきました。

義実家で募ったさらなる違和感

彼の実家を訪ねた際も違和感を覚える出来事がありました。

義母の好物だからと老舗洋菓子店のクッキーの詰め合わせを用意するよう彼から頼まれ、それも私がお金を出して、手土産として実家に持参しました。ちょうどお昼時で義母が近所の寿司店から出前を取ってくれたのですが、寿司桶の中身を見て「は?」と目を疑いました。

義父や義母、彼の寿司は上か特上なのに、私の分はかっぱ巻きの入った並だったからです。一瞬、義母が自分の分と間違えたのかと思いましたが、皆の前で指摘するのははばかられ、そのままいただきました。

それだけではありません。食事の後に私が台所で洗い物をしている時、廊下で彼が義母に分厚い封筒を渡しているのが見えました。封筒の端からは1万円札らしきものがのぞいていて、あの厚さからすれば、少なくとも50万円以上は入っていそうです。

これはもう、彼に聞いてみるしかないと思いました。そしてその夜、彼が打ち明けてくれた話は私にとって衝撃以外の何物でもなかったのです。

●そして発覚した義実家の理不尽なルール。後編【まるで前時代の遺物…義実家の謎の掟に困惑も、離婚できない妻の事情】で詳細を解説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。