とんとん拍子で進んだ結婚

正直それまで、お見合いにのこのこやって来るような男性にはちょっぴり偏見がありました。「彼女いない歴」が年齢と同じとか、オタクで女性に興味がないとか、そういうクセのある人ばかりだと思い込んでいたのです。

しかし、当日お見合いの席に現れた彼はスラッとした塩顔のイケメンで、夏だったため薄い色のスーツを着ていたこともあり、まるで白馬に乗った王子様のように見えました。ルッキズムと批判されそうですが、外見重視派の私には断る理由がなかったのです。

幸い向こうも私のことを気に入ってくれたようで、とんとん拍子で話が進みました。お見合いをしたその月に彼の実家に招待され、義父、義母、既に嫁いでいた義妹と一緒に食事をしました。

裕福で優しそうに見えた義家族

地元の信用金庫の役員だった義父は厳格な人で少し話しかけづらい雰囲気がありましたが、優しそうな面差しがよく似た義母と義妹はとてもフレンドリーで、「この人たちとならうまくやっていけるかも」と思いました。今になってみればとんでもない思い違いだったのですが……。

彼の家はかつての地主で、歴代の村長なども務めた家柄でした。戦後の農地改革などで今は自宅の不動産程度しか残っていませんが、格を重んじる家風は継承されているようです。結婚式だけでなく結納もしっかり執り行い、相場の何倍もの結納金をいただいたので、私の両親は目を丸くしていました。

式当日に母が「あなたみたいなのを玉の輿って言うのよね」と言って、うれしそうに送り出してくれたことをよく覚えています。