iDeCo以外にも一時金受け取りがあるとどうなるのか

多くの会社では、退職時にまとめて退職金を支払う退職一時金制度を採用しているので、お勤めの方はiDeCo以外にも退職一時金を受け取る方が多いと思います。また、フリーランスや自営業の方の多くが加入している小規模企業共済も廃業時に一時金で受け取る方が多いと思います。こういった一時金をiDeCoと同時または前年以前の19年間に受け取っていると、合算して税額を算出する対象となります。

合算対象となる場合には、以前に受け取った退職一時金の額と退職所得控除として使った勤続年数(拠出年数)を考慮して、退職所得を計算します。

わかりやすい公務員のケースで具体的な合算の仕組みを解説してみます。公務員として22歳から60歳まで勤務して60歳の定年時に退職一時金を2100万円受け取り、合わせて先ほどと同じ45歳から65歳までiDeCoに加入し資産残高が400万円、これを65歳で一時金としてすべて受け取ったとします。

60歳に受け取った退職一時金の退職所得控除は、勤続38年ですから2060万円となり、その超過分の2分の1、この場合は20万円が退職所得となります。税金は1万円程度です。65歳でiDeCoを一時金で受け取る際には60歳までの期間は先の退職一時金の控除額で使ってしまっているので、60歳から65歳の拠出期間だけが控除額の計算に使用可能となります。5年間ですから退職所得控除額は200万円、その超過額200万円の2分の1にあたる100万円が退職所得として課税されます。税金として徴収されるのは5万円あまりです。60歳の定年時に退職一時金を受け取った後、65歳までiDeCoの加入期間が5年間あったことで税額が随分と低くなります。

逆に60歳で同時にiDeCoを受け取っていたとしたら、控除額は少なくなりますから当然税額は増えます。同じ400万円を60歳で受け取っていたら、課税対象となる退職所得は210万円となります。税額は11万円あまりと、先ほどの例の倍になります。このように合算の対象となった場合でも重複しない勤続年数(加入年数)があれば税金がかからない退職所得控除額が適用されますし、そもそも退職一時金が退職所得控除額を上回るほどでなく、使っていない控除枠が残っていれば、後で受け取るiDeCoの一時金でその枠も適用され、税額を抑えてくれます。