償還年限の確認方法

また、ソフトバンクグループ社債の償還年限を見ると、「5年」、「10年」という年数が示されておらず、「35NC5」となっています。この意味するところも、個人向け社債に投資する場合は、理解しておく必要があります。

まず「35」という数字は、最長35年まで償還を先延ばしにできるという意味です。「NC」というアルファベットですが、これは「ノンコール」の意味です。これに対して末尾の5という数字は、5年後以降の利払い日に繰上償還できるという意味ですが、ただしNC5(ノンコール)なので、5年間は繰上償還されないという意味になります。

つまり、投資してから最短でも5年間は償還されないので、この間の現金化は難しく、したがって5年以上置いておくことのできる資金での投資が前提になります。そして、5年経過時点で繰上償還されない場合は、6カ月ごとに到来する利払い日まで償還が先延ばしされ、最長35年債になるという仕組みです。

このように最低でも5年間は保有しなければならない債券ではあるのですが、債券の場合、一応は償還日前でも現金化することは可能です。

個人向け社債の注意点

ただし、これは他の個人向け社債にもあてはまることですが、基本的に個人向け社債は債券市場における流動性が極めて低いという問題があります。つまり、売却したい時に、それを買いたいという投資家が見つかりにくいのです。

そのため、償還日前に現金化しようとすると、安い債券価格で買いたたかれる恐れがあり、下手をすると元本を割ってしまうリスクがあります。

債券は、償還日まで保有すれば、額面価格で元本が償還されますが、償還日前に売却する場合は、債券市場の需給によっては、売却価格が額面価格を割り込んだ水準でしか、買い手がつかないケースもあるのです。

これは、債券に投資する場合のリスクとして、覚えておく必要があります。