7月26日の日本経済新聞朝刊に、「運用主要5社、前期最終減益 薄い利幅・海外任せのツケ」という見出しで、大手運用会社の収益構造の問題点を指摘する記事が掲載されました。本稿ではインデックスファンドと運用会社の経営について解説します。

運用会社の収益構造の問題点とは

先述した記事は、簡単に言うと、信託報酬率の低いインデックスファンドの人気と、運用の外部委託が増えたことによって、国内運用会社の収益構造が悪化している、と言う話です。

アクティブ型であれば、全体で年1.0~1.5%程度は取れる信託報酬が、インデックス型だと年0.1%にも満たないというケースもあり、確かにこれでは相当程度まで運用資産残高を積み上げないと、満足できる信託報酬を得られません。

また、日本の運用会社が外国市場に投資するファンドを組成するときは、多くの場合、海外の運用会社に運用の外部委託が行われます。これはファンドの運用の権限を、海外の運用会社に委託するというものです。当然、外部委託する以上、その委託先に対しても、一定率の報酬を支払わなければなりません。

ちなみにアセットマネジメントOneが設定・運用している「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」の場合、その運用権限をモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント・インクに委託していますが、そこに外部委託する際の報酬率は年0.65%です。

同ファンドの信託報酬率が年1.848%で、このうち運用会社の信託報酬率が年1.00%であり、ここから外部委託に必要な報酬を支払いますから、実際にこのファンドの運用で運用会社が得ている報酬は、年0.35%にしかなりません。

今回の記事は、そもそも信託報酬率が低いインデックスファンドの人気化と、運用の外部委託によって負担しなければならないコストによって、国内運用会社の収益性が落ちているのではないか、という内容です。