出資法を知れば見えてくる投資話の怪しさ
そのうえで前出のケースを改めて見てみましょう。
まず、「株式取引で利益を上げ、月2~5%の配当を出す」「元本は保証する」といった時点で出資法違反です。
また月2~5%の配当と言われた時点で、「これは有利だ」と思うのではなく、「こんな利回りが実現するはずない」と考えるべきでしょう。低く見積もって月2%の配当だとしても、年利に換算すれば24%。投資で年24%を常に回せるものなど存在しません。しかも「元本保証」とまでうたっているのですから悪質です。
日本の10年物国債利回りは0.4%台です。国債は日本で最も元本安全性の高い金融商品ですから、元本保証でこれを超える利回りの金融商品は、何らかのリスクが内包されているか、あるいは完全な詐欺商品かのどちらかであるという認識を持つべきなのです。
有名人を利用して信用を集めるビジネスに注意!
また、この事件の特徴は、広告塔の存在です。もちろん、この女優は結果的に広告塔に仕立てられてしまったわけですが、そもそも金融機関でも投資会社でもないのに、太くて多数の人たちから運用資金を集めるためには、信用させる何かが必要です。そのために広告塔が存在します。
芸能人やスポーツ選手など、誰もが知っている著名人が直接、その投資商品を勧めていなかったとしても、WEBをはじめとする各種メディアの広告やセミナーなどに登場していたら、すぐに「怪しい」と思うべきでしょう。
さらに言えば、この事件では元税理士が資金集めで大きな役割を果たしていますが、国家資格である税理士に対する信頼も、信用補完に利用されました。
とはいえ、前述したように出資法に関する知識が幾ばくかでもあれば、いくら有名女優が広告塔に使われ、かつ税理士という肩書の人物が近づいてきたとしても、だまされずに済んだのかも知れません。その点でも、出資法という法律の趣旨は、頭の片隅に置いておくと良いでしょう。