再び、ドル高・円安が進んでいます。このような状況になると、多くの人が「ああ、やはり米ドル建ての金融商品を買っておけば良かった」などと思って後悔しがちですが、逆に米ドル安・円高が進んだとしても、「どうしてこんなものに投資してしまったのだろう」と後悔しがちです。

2022年3月から10月にかけては、恐らく前者の方が多かったでしょう。なぜなら米ドル/円が、1米ドル=115円前後から、151円94銭まで米ドル高・円安が進んだからです。

しかし、その後は後者の方が多かったのではないでしょうか。2022年10月21日に1米ドル=151円94銭という高値をつけた米ドルは、2023年1月20日にかけて、1米ドル=127円23銭まで急落したからです。

この間、米国の長期金利は3%台半ばから4%前後で推移していましたが、米ドルは対円で16.26%も下落したので、いくら相対的に金利の高い米国国債を購入したとしても、この間の為替差損によって、実質的には含み損を抱えることになります。嘆きたい気持ちになるには十分でしょう。

そして今、再び米ドル高・円安が進んでいる状況を見て、米ドル安・円高局面で後悔していた人たちは、少し明るい気分になっているのではないでしょうか。

外貨建て金融商品の為替リスク

こういう時に、よく聞かれるのが「だったら為替リスクをヘッジして投資したら良いのでは?」という意見です。それをレポートにしたのが、日興アセットマネジメントが定期的に作成している「こよみ vol.173」で取り上げられたテーマです。

米ドル安・円高が進むと、米ドル建て金融商品の円建て時価評価額には含み損が生じます。米ドル建てをはじめとする、外貨建て金融商品での運用を敬遠する人は、大体において、この為替リスクを嫌気しているケースが多く見られます。

ですが、為替リスクをヘッジしておけば、たとえば米ドル安・円高が進んだとしても、為替差損の発生を最小限に抑えられます。実際、海外の株式や債券に投資する投資信託の中には、為替リスクをヘッジしたものと、ヘッジしないものとを選べるようになっているものもあります。

そうなると、為替リスクをヘッジした投資信託を選べば良いのか、という話になるのですが、選ぶ前に、為替リスクをヘッジする際の仕組みを理解しておいた方が良いでしょう。