仕組みと注意点

現在、1米ドル=145円で米ドルを買うのと同時に、将来、その米ドルを売却する際の為替レートを現時点で予約するという取引があります。これを為替先物予約と言います。

為替先物予約を用いて、将来、米ドルを売却する際の為替レートを確定させるためには、日本と米国の金利差を調整して算出します。

たとえば1米ドル=145円だとします。仮に、米国の1年金利が5%で、日本のそれが1%だとしましょう。両者間には4%の金利差があります。1米ドル=145円ということは、100米ドル=1万4500円です。

米国で、100米ドルを年5%で1年間、運用した場合の元利合計額は105米ドルになります。日本で、1万4500円を年1%で1年間運用した場合の元利合計額は1万4514円です。

上記の計算式で求められた米ドルと日本円の1年後の元利合計額をベースにして、1米ドルはいくらになるのかを計算すると、

1万4514円÷105米ドル=138円22銭

つまり1米ドル=138円22銭という数字が算出されます。これが、1米ドル=145円で米ドルを買い、1年後に売却する際の米ドルの為替レートを予約した際に適用される為替レートになります。

もうお気づきかと思いますが、より低い金利の国の通貨で、より金利の高い国の通貨を先物で売り予約すると、両国の金利差分だけ、米ドルを売って円を買い戻す際に適用される為替レートは、円高水準に確定されるのです。これが為替コストと呼ばれるものです。

したがって、より低い金利の国の通貨(このケースだと日本円)でもって、より高い金利の国の通貨(このケースだと米ドル)の先物売り予約を行う時は、金利差分以上のリターンが期待できる資産に投資しないと、利益が出ません。

為替リスクをヘッジすれば、大きく米ドル安・円高が進んだとしても、為替差損が大きくなるのをある程度まで抑えられますが、為替コストの分だけ、投資先となる株式や債券が値上がりしないと、むしろ損失が生じてしまう恐れがあるのです。

もうひとつ、為替リスクをヘッジするに際して注意点があります。それは、外貨の売り予約をした後、その外貨が大きく値上がりしたとしても、為替差益は一切取れないということです。

前出の例で言うと、1米ドル=145円から150円まで米ドル高・円安が進んだとしても、1年後に米ドルを売る際に適用される為替レートは、あくまでも1米ドル=138円22銭なのです。