60歳以降の収入は3割減…そのうえ、手取りはもっと減る

定年引上げに伴う給料への影響については、例外的な場合や条例で異なる取り決めをしているケースがあるかもしれませんが、総務省の資料※1によれば、以下の3点がポイントになると思います。

①役職定年制を導入、60歳で管理職手当が出なくなる
②60歳以降の給料は、60歳までの給料の7割になる ※2
③退職手当は、従来の60歳定年時には支給されない (61歳以降に引上げられた定年時に支給される)

※1 総務省公務員部「地方公務員法の一部を改正する法律について」(令和3年6月25日)
※2 雇用保険では、60歳以降の給料が75%未満になると支給される給付金があります。ただし、雇用保険に加入していない公務員には適用されませんのでご留意下さい。

さて、従来60歳を迎えた方は退職していたわけですから、①はそういうことなんだろうと思いました。また、60歳以降も常勤職員になるので、②の給料水準も現行の再任用職員よりは高いのではないでしょうか。

問題となるのは、「収入は7割だけど、手取りは収入以上に減ること(=3割以上減になること)」だと思います。なぜ、収入以上に手取りが減ってしまうのか、イメージ図をご覧下さい。

 

※3 地域社会ライフプラン協会「地方公務員のための50歳代からのライフプラン」を基に筆者が作成。

手取りとは、額面の給料から税金や社会保険料を控除した残りの金額ですよね。

まず、所得税は給料が7割になれば、その分税額も減ります。一方、社会保険料は、4~6月の給料をもとに再計算され、9月の給料から反映されるのが原則ですが、4月から給料が大きく減ると7月から社会保険料も減ります。それでも、4~6月は手取りが減ることになります。

やっかいなのは住民税。前年の年収で税額が計算されるので、4月に給料が減っても住民税が減るのは翌年6月になるのです。しかも、③の退職手当は定年まで支給されません。従って、公務員の定年引上げに際しては、手取り減少への備えや対策が必要になる、ということです。