——今後の銘柄入れ替えのタイミング、頻度は?

高橋 銘柄の定期入れ替えは毎年1回、8月最終営業日に行います。今年は7月にスタートするので行わず、最初の定期入れ替えは2024年8月となります。詳しい再選定基準は省きますが、2014年にさかのぼってシミュレーションしたところ、毎年の入れ替え数は平均すると15銘柄程度と約1割、回転率(時価総額ベース・片道)も平均で7%程度でした。ちなみに、今回の選定基準によって2022年10月に上場したばかりの企業もプライム150に選ばれています。こうした「旬」の企業がリストに登っていることも、新指数の魅力になると思っています。

日本の「国富」を増やすことがゴール

——来年1月から新NISAが始まります。プライム150は絶妙のタイミングでのスタートですが、運用会社や投資家からの反応はいかがですか。

高橋 新指数の内容を詰める過程などで運用会社と意見交換させていただきましたが、そうした方々からはコンセプトにご賛同いただいています。個人投資家からも、当方のWEBサイトなどを通じて高い関心をいただいていると実感しています。先ほどから申し上げてきたプライム150の利点も、指数の算出や運用が始まれば、みなさまに具体的なイメージを持っていただけると思います。そうしたタイミングで、運用会社にはぜひ商品化を進めていただきたいと願っています。今後も運用会社や投資家のみなさまからの指摘や要望を継続的にお聞きして、指数のさらなるチューニングも行っていきたいと考えています。

——最後に、プライム150の認知や利用が拡大した先に、JPXグループあるいは新指数が目指す「ゴール」はどういったものになりますか。また、機関投資家や個人投資家の皆さんにメッセージをお願いします。

高橋 やや極端な話をさせてもらいますが、プライム市場に上場する大手企業がみなPBR1倍を超えれば、新指数とTOPIXは限りなく近づくことになります。その状態が市場改革のゴールと言えなくもない。そうなれば、プライム150はTOPIXの代替インデックスになりうると思います。そこへの道筋を踏まえて機関投資家の皆さんには、新たな投資対象としてぜひ検討をお願いしたいです。

個人投資家のみなさんには、プライム150の銘柄選定基準に「エクイティ・スプレッド」という指標が入った意味、つまり資本コストに着目してROEより一歩踏み込んだ世界に入っていくという点を認識していただければと思います。

いずれにせよ、株式市場を通じて日本の国富を増やし、市場参加者へ還元していくというのが私たちの究極の目的であり、それこそがこの指数のゴールでもある、と思っています。

——プライム150を用いたETFや投資信託の誕生が待ち遠しいですね。本日はどうも、ありがとうございました。

【今回のポイント】
■JPXプライム150指数は「価値創造が推定される我が国の代表的企業からなる指数」。東証プライム市場の時価総額上位500社の中から、財務実績と市場評価の高い150社を選定
■プライム150は大型株中心でグロース特性を持つ。市場平均とは異なった値動きをするので、アクティブ運用のニーズがあると想定
■プライム150はTOPIXと構成銘柄が大きく異なる。電気機器、情報・通信業、医薬品などのセクターをオーバーウェイトする一方、自動車、銀行、不動産などはアンダーウェイト
■プライム150全体のPBR、ROE、売上高成長率、時価総額などはS&P500など欧米の主要指数にも遜色のないグローバル水準