リカちゃん人形の「タカラ」はなぜ「トミー」に吸収された?
タカラトミーは1924年から続く企業ですが、2006年に「タカラ」を吸収するまでは「トミー」という社名でした。タカラはリカちゃん人形を世に送り出した企業です。なぜ両社は合併を選んだのでしょうか。
背景にはタカラの業績悪化があります。同社はM&Aを進め、電気自動車やホームセンターといった異なる事業に進出したものの、それらの収益化が進まない状況が続いていました。2005年3月期には本業の玩具事業も落ち込み、146億円以上の最終赤字に転落します。
【合併前のタカラの業績】
出所:タカラトミー 合併以前のデータ
当時タカラに出資していたコナミは見切りをつけ、保有するタカラ株式を全てゲーム開発会社のインデックスに売却しました。その際にトミーが統合を持ちかけ、タカラトミーが生まれることとなります。インデックスがタカラの筆頭株主になってわずか2週間ほどで決まったスピード合併でした。この合併でタカラは解散することになります。
その後インデックスは経営不振が続き、タカラトミーからは離脱し始めます。2008年には反対にタカラトミーからインデックスへ約25億円の出資を行いました。しかしインデックスの業績は回復せず、2013年6月に民事再生手続きを申請します。2014年3月期にはタカラトミーの大株主から名前が消えました。
【インデックスのタカラトミー株式保有割合】
親会社の混乱はあったものの、合併直後のタカラトミーは順調に利益を稼ぎます。2010年代に海外事業の整理を進めたため純損失に転落することもありましたが、2017年3月期からは最終黒字を確保してきました。
【合併後のタカラトミーの純利益(2006年3月期~2023年3月期)】