インデックスは「昨日までの成功者の集合体」なのか

先述したMSCIの代表的な新興国株式指数「MSCI エマージング・マーケット指数」の国別構成比を確認すると、中国は全体の31.4%、インドは13.7%を占める。

この時点で、特にインドの構成比率が想像よりも低いと感じた方も多いだろう。これこそがインデックス投資の弱点である。株式インデックスで主流の時価総額加重型は、あくまでもいま現在の市場価値の実態を表すものであって、将来の成長性や期待値は加味されていない。

時価総額加重型のインデックスは、「昨日までの成功者の集合体」と揶揄されることもある。先進国の場合、「昨日」も「今日」も大きく変わらないが、先のBRICsの例からも分かるように、新興国は数年単位で登場人物が入れ替わる可能性がある。

以上を踏まえると、こと新興国に関しては、インデックスで「ざっくり」と全体に投資するのではなく、期待を込めてピンポイントで投資対象国を「選別」することも視野に入れて良いだろう。

 

最後に、中国株式と米国株式の連動性が低下しているという点についても触れておこう。

両国の株式の連動性低下は、コロナ政策の方向性と、その結果としての景気回復のフェーズの違いが主な要因だが、奇しくもコロナ禍で進んだ両国の経済面における分断(デカップリング)がそのまま株式市場にも反映されている。心情としてどう感じるかはともかく、すでに米国株式を保有していて地域分散を検討しているのであれば、中国株式は非常に分かりやすい分散対象になり得るだろう。