前回の本連載(新NISAも見据えて知っておくべき、日本株アクティブファンドの真の魅力)では、「灯台下暗し」とも言える日本株のアクティブファンドについて取り上げたが、今回は新興国株式に焦点を当ててみたい。
「なぜこのタイミングで新興国なのか」と思われる方も多いかもしれないが、いま新興国を注目すべきと考える理由は大きく2つある。1つは、投資妙味のある国が分かりやすく絞られてきたということ。そしてもう1つは、米国株との「併せ持ち」による分散効果への期待である。まずは、「新興国」と投資信託の関係について整理しておこう。
投資信託の世界で新興国はどう扱われてきたか
投資信託の世界で、新興国が魅力ある投資対象としてはっきりと認識されるようになったのは、米ゴールドマン・サックス社が成長著しい新興国4か国(ブラジル、インド、ロシア、中国)をBRICsと名付けた2000年代初頭に遡る。ゴールドマン・サックスはこの時、2050年のGDP(国内総生産)のランキングが、1位から順に中国、米国、インド、日本、ブラジル、ロシアになると予測した。当時、この4カ国は所得水準の観点からまだ開発途上国の域を出ていないとの見方も強かったが、語感の良さも相まって、良くも悪くも「BRICs」という単語が独り歩きし、経済成長の可能性を秘めた国として注目されるようになった。
ちなみに、「開発途上国」とは一般的に、OECD(経済開発協力機構)が発表している「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト(DAC List of ODA Recipients)」に掲載されている国を指す。3年ごとに公表されるこのリストに掲載されている国の中でも、特に経済成長が期待される国を新興国と呼ぶ。