「退職金の有無」は企業規模や業種で変わる
退職金についての統計は、厚生労働省が行っている「就労条件総合調査」が代表的です。この調査の中で、5年に1度、退職給付制度とその支給実態についての調査結果が発表されています。
2023年4月27日現在、公表されている最新のデータである平成30年(2018年)の調査を見てみると、2018年時点での企業の退職給付制度の状況ば、退職給付制度がある企業の割合が80.5%でした。つまり、残りの19.5%の企業には退職給付制度がありません。これは企業規模によっても差があります。
<企業規模別退職給付制度の有無>
常用労働者数 1000人以上・・・あり 92.3%/なし 7.7%
常用労働者数 300~999人・・・あり 91.8%/なし 8.2%
常用労働者数 100~299人・・・あり 84.9%/なし 15.1%
常用労働者数 30~99人 ・・・・あり 77.6%/なし 22.4%
出所:厚生労働省 「就労条件総合調査」平成30年(2018年)
上記のデータから分かるように、常用労働者数1000人以上という規模の大きな企業では9割以上で退職給付制度が導入されています。一方、企業規模が小さくなるに従って、退職給付制度がない企業の割合が多くなっています。常用労働者数30~99人の場合、約2割超の企業に退職給付制度がありません。
また、業種による差はもっと大きくなります。
<産業別退職給付制度の有無>
複合サービス事業・・・・・・・・あり 96.1% /なし 3.9%
鉱業・採石業・砂利採取業・・・・あり 92.3%/なし 7.7%
電気・ガス・熱供給・水道業・・・あり 92.2%/なし 7.8%
サービス業(他に分類されないもの)・・・あり 68.6% /なし 31.4%
生活関連サービス業、娯楽業・・・あり 65.3%/なし 34.7%
宿泊業・飲食サービス業・・・・・あり 59.7%/なし 40.3%
出所:厚生労働省 「就労条件総合調査」
上記は産業別の退職給付制度導入率を高い順から並べて、上位3つの産業と導入率が低かった3つの産業を抜粋したものです。上位および下位3位以外の産業の退職給付制度の導入率はおよそ70~80%程度です。
そして、導入率が低い産業にはサービス業関連が集中していました。特に、宿泊や飲食関連の産業では、退職給付制度がない企業が4割もあることが分かりました。
定年時に退職金があるかどうかは、老後の生活設計に大きくかかわる問題です。「多分、自分ももらえるんだろう」などと思い込んでいると、定年間際に大慌てするはめに。退職給付制度の有無だけでも、早めに確認するに越したことはありません。