人生100年時代といわれる現代では、老後のお金に大きな関心が集まっています。近年は、バブル世代や団塊ジュニア世代といった人口のボリュームゾーンが定年退職を意識する年齢に突入し、「退職金の得する受け取り方」といった記事もさまざまなメディアで取り上げられるようになりました。

また、投資資産の非課税保有期間が無期限化する新NISAのスタートを来年に控え、退職金の運用方法に関心を寄せる定年前後の世代が増えているようです。

しかし、退職金の運用方法を考えるその前に、そもそも会社員の皆さんは、自分の会社の退職給付制度がどんな仕組みで、自分がどれくらい退職金をもらえるのかをご存じですか?

知らないと後悔する「退職金」のこと

筆者はここ数年、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーのほか、定年前後のお金の専門家の方々を度々取材してきました。その中で専門家の皆さんが口をそろえて言うことは、「自分の退職金について定年直前まで把握していない人が多すぎる」ということです。

退職金といえば、定年退職時にもらえる「人生最大にして最後の大金」といっても過言ではありません。ところが、多くの会社員は制度について深く知らず、受け取る金額さえ「もらってみないと分からない」という人が相当数いるのだそうです。

退職金とひとことで言っても、実は会社によって導入している制度は異なります。そして、「会社員ならば誰でももらえる」というものでは決してありません。会社に制度がない場合、制度があっても退職金規定に示された要件を満たしていない場合は、給付を受けることができないのです。

また、退職給付制度の中には、自分でもらう方法・年齢を選択できるもの、自ら手続きしないと給付されないものもあります。退職金は受け取り方によってかかる税金が異なるため、自分の会社の制度を把握して最適な方法を選ばなければ後悔することになります。

そこで、本稿では日本の民間企業で採用されている退職給付制度の種類や、最近の傾向について紹介します。