企業が導入している退職給付制度の種類

企業ごとに導入している退職給付制度の種類はさまざまです。退職給付制度は、大きく分けて「退職一時金制度」と「退職年金(企業年金)制度」の2つがあります。

1.退職一時金制度

最も多くの企業で採用されているのが、「退職一時金制度」です。この制度は、定年時に一括でお金を支給するタイプの制度で、いわゆる「退職金」と呼ばれています。

先ほどの調査で「退職給付制度がある」と回答した企業のうち、73.3%が「退職一時金制度のみ」を採用しています。つまり、定年時に退職金を一括でドンと受け取る会社員が大半だということです。

2.退職年金制度

「退職年金制度」は企業年金とも言い、この制度のみを採用している企業は8.6%と少数派です。また、「退職一時金制度」と「退職年金制度」の両制度を併用しているという会社は18.1%あります。

後者は非常に恵まれた会社と言えますが、企業規模では常用労働者数1000人以上の企業で47.6%が両制度を併用しているので、やはり大企業ほど手厚い退職金制度があると考えられるでしょう。

それぞれの制度の特徴と種類

前述の通り、退職金制度は大きく2種類あります。では、それぞれの制度の特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。

1.退職一時金制度の特徴と種類

退職一時金制度とは、原則として退職時に一時金として一括で給付する制度です。退職金額の計算方法は会社によってさまざまで、主な計算方法として次のようなものがあります。

【退職金額の計算方法の種類】

a.ポイント制方式
「在職中の貢献度による累計ポイント数×ポイント単価」で計算。職能等級や勤続年数をポイント化し、能力や実績を退職金に反映しやすくした方式で、近年多くの会社で採用されている。

b.基本給連動方式
「退職時の基本給×勤続年数に応じた係数×退職理由係数」で計算。伝統的な退職金の計算方法で、勤続年数が長くなり定年退職に近づくほど金額が高くなる。

c.別テーブル方式
「基本給と別枠で設定された基準額×退職時の役職や等級による係数×退職事由係数」で計算。給与と関係なく勤続年数に応じた基準額を設定し、「課長なら1.2倍」「部長なら1.5倍」など役職の状況によって係数が変わる。

d.定額方式
勤続年数のみで退職金を計算するシンプルな方式。貢献度や役職は考慮されず、5年なら100万円、10年なら200万円など、勤続年数に対応した金額が設定されている。退職理由により金額が異なる場合もある。