投資用、居住用を問わず不動産に関するトラブルは後を絶ちません。この連載では、不動産にまつわる数々の相談に乗ってきた不動産鑑定士の福田伸二さんが、皆さんの「不動産リテラシー向上」に役立つ情報を事例と共にお届けしていきます。今回は、ワンルームマンション投資のリスクについてご紹介します。

不動産鑑定士・福田伸二さん
 
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パワーエリートが赤字物件を抱えて苦悩!?

弊社のご相談案件のうち1~2割は、ワンルームマンション投資についてのご相談です。それも、「このまま持ち続けていいのだろうか?」と不安に駆られてご相談に来る方が圧倒的に多いです。中には5つも6つもワンルームマンションを所有し、非常にリスクの高い状況にある方もいらっしゃる。そんな方が少しでも減るように、今回はワンルームマンション投資の利益のからくりをお伝えしたいと思います。

もちろん、私は決してワンルームマンション投資を否定しているわけではありません。当然、もうけている方もたくさんいらっしゃいます。しかし、その方々がなぜもうかったのかというメカニズムを知らなければ、不幸な方々もどんどん増えてしまいます。

投資用のワンルームマンション購入でよくあるのは、「節税になりますよ」と囁かれて買うパターンです。私が「節税になっていますか?」とお聞きすると、みなさん「たぶん……」と言葉を濁されます。また、多いのが「収支はトントンになっています」とおっしゃる方。損はしていないのだから、大丈夫だと考えるのです。しかし、そこに大きな落とし穴があります。

ご相談に来られる方は、社会的属性の高い方です。いわゆる「士業」「師業」の方や外資系金融機関のサラリーマン、共働きでご夫婦共に高学歴・高所得のパワーカップルも多いですね。そして皆さん忙しく、自分がどのような物件に投資しているかを把握されていない方が多い。そこが、ワンルームマンション投資の怖いところです。