ただ、銀行においては「多様な人材の活用を推進している」(=ダイバーシティ)という項目について、回答率は依然として低いものの、傾向として評価ポイントが揃って上がっている。地銀が12.5%から22.2%、第二地銀は14.7%が22.0%、ゆうちょ銀・郵便局は17.0%が28.6%になった。

「多様な人材の活用」は、一般社会においても重要な社会課題になっている。運用会社にとっては、多様な人材や価値観を活用することによって、テールリスク(まれにしか起こらない想定外のリスク)の回避などリスク管理の高度化や、反対に、見過ごされがちな収益機会の獲得の可能性を高めることなどに役立つと考えられている。ダイバーシティは、今後ますます重要視されることになると考えられ、販売会社での評価の推移にも注目していきたい。

証券・IFAでは目先の利益より将来性に期待

一方、証券会社やIFAといった販売会社では、運用会社の「ガバナンス」に対して21年と22年の間で目立った変化があった。証券会社は「受益者本位の商品組成や効率的な運用」について21年の36.4%が22年は57.1%に大幅に高まり、また、「経営陣の資産運用ビジネスに関する経験・理解」という項目も21年の54.5%が22年は67.9%になった。価格変動商品の取り扱いに長けている証券会社にあっては、22年の市場環境のように運用が厳しい中にあっては、目先のパフォーマンスよりも、中長期的なパフォーマンスを左右する「ガバナンス」に関して関心を高めたと推察される。

IFAでは、「受益者本位の商品組成や効率的な運用」について21年の52.6%が22年は64.9%に、そして、「顧客利益を重視するために役職員を評価する環境」が同じように52.6%から64.9%に評価ポイントを高めている。もともと「ガバナンス」については他の業態よりも評価の優先度を高くする傾向があったが、22年のような運用環境が厳しい中にあって一段と「ガバナンス」を重視する姿勢を強めたということだろう。

証券やIFAという価格変動商品の取り扱いに慣れた販売会社では、足元のパフォーマンスが期待できない中にあっては、より長期の目線で運用会社を評価する機運が高まっているのは興味深い。「今がダメなら、今後の期待を高める」というしたたかさが感じられる回答だ。