金融機関にとって「ガバナンス」は、近年になって非常に重要視される項目になってきた。販売会社が運用会社の「ガバナンス」を評価する視線も、年々厳しさを増していると考えられる。特に、運用環境が悪化した2022年は、運用商品のパフォーマンスが冴えなかったこともあり、「ガバナンス」には一段と厳しい評価になったと想像される。
金融リテール専門誌『Ma-Do』が実施した「運用会社ブランドインテグレーション評価2022」で、運用会社の「ガバナンス」に対する販売会社の業態別の評価をみると、銀行(地銀、第二地銀、ゆうちょ銀)では21年と22年の差が大きくないものの、証券会社では「経営陣の経験」、そして、IFAでは「顧客利益を重視するために役職員を評価する環境」への注目度が大きく上昇した。
「運用会社ブランドインテグレーション評価」は、投信販売会社が運用会社を評価する調査で、運用会社について「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ブランド力」「ガバナンス」の6つの軸で評価してもらい、得点順にランキングした。2022年調査は9月~10月にWEBで実施し、国内外の運用会社36社を評価の対象とし、310件の回答を得た。回答者の業態別構成は、地方銀行が41.1%、第二地方銀行が11.6%、ゆうちょ銀行・郵便局が16.1%、証券会社が7.5%、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)が13.0%だった。
銀行で高まるダイバーシティへの関心
運用会社の「ガバナンス」に関する販売会社の評価は、評価の主軸になっている3項目について銀行の評価は21年と22年で大きな変化はなかった。「受益者本位の商品組成や効率的な運用」は、地銀が21年の57.5%が22年は59.0%、第二地銀は47.1%から61.0%、ゆうちょ銀・郵便局は55.3%が51.0%という結果だった。「経営陣の資産運用ビジネスに関する経験・理解」については、地銀が21年の55.0%が22年は55.6%、第二地銀は55.9%が48.8%、ゆうちょ銀・郵便局は55.3%が53.1%だった。そして、「顧客利益を重視するために役職員を評価する環境」は、地銀が45.8%から49.6%、第二地銀が35.3%から41.5%、ゆうちょ銀・郵便局は44.7%が42.9%という結果で、第二地銀において、最も重要視する項目が「経営陣」から「役職員」へと移動する変化はあったものの、21年と22年で評価ポイントに大きな変化はなかった。