インデックスなのに銘柄を選別?「京大川北/JPX日本株指数」とは

東京証券取引所の再編に伴って既存の市場はなくなりましたが、「東証マザーズ指数」や「旧東証市場第一部指数」のように、従来の市場区分を前提として算出する株価指数の一部はまだ残っています。

株価指数は対象とする母集団を機械的に組み入れて算出されることが一般的です。しかし2023年1月、銘柄を選別して構成する面白い株価指数が誕生しました。京都大学が算出する「京大川北/JPX日本株指数」です。日本株の長期投資に資するよう、市場平均以上のパフォーマンス獲得を目標に開発されました。

【京大川北/JPX日本株指数の概要】

出所:京都大学 指数算出要領(京大川北/JPX 日本株指数編) 

ポイントは選定基準です。既存の株価指数は、時価総額や株価などが大きい順に採用することが主流でした。しかし京大川北/JPX日本株指数は、アクティブファンドのように売上高成長率や利益率といった財務指標などで銘柄を厳選します。例えば算出開始時点で、株価指数で採用されることが多い「トヨタ自動車」や「ソフトバンク」、「ソニーグループ」といった銘柄は含まれていません。

【京大川北/JPX日本株指数における主な大型株の採否(2023年1月30日時点)】

出所:京都大学 京大川北/JPX日本株指数リスト(2023年1月30日現在、199社)

指数の算出時点で銘柄を厳選する試みは画期的といえるでしょう。京大川北/JPX日本株指数のパフォーマンスが従来の株価指数を上回るようなら、同じようにアクティブ運用の仕組みを持つ株価指数の開発が進むかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。