これに対し、証券会社では「市場平均を上回る収益」が21年の72.7%から22年は89.3%に上がっている。これは市況が悪い中でも、「より優れた銘柄を選別して投資できれば市場平均を上回る運用成績が獲得できる」というアクティブ運用への信認や期待を示していると考えられる。販売会社としては、それだけ優れた運用成績が期待できるファンドを選び出して顧客に提供することをめざすという姿勢に通じる。
証券会社の運用力に対する評価は、いかなる環境においても「パフォーマンス」を強く意識したものになっている。証券会社は、「一貫した運用哲学」の項目でも21年の27.3%が22年は50.0%と評価ポイントを大きく上げており、運用の優れたファンドを選定したいという思いが強く出ている。
地銀、第二地銀は投信評価機関に距離感
一方、運用会社の運用体制に対する評価は、地銀とゆうちょ銀・郵便局で評価を上げている。「経験年数や実績が豊富な運用者が多い」について地銀が21年の16.7%から22年は21.4%、ゆうちょ銀・郵便局が21年の17.0%から22年は36.7%に上昇。「複数の海外拠点など幅広い運用体制」は地銀が12.5%が14.5%、ゆうちょ銀・郵便局が14.9%から16.3%となった。市場環境が厳しい時には、運用体制が充実した運用会社に任せたいという思いが、地銀やゆうちょ銀・郵便局には潜在しているのだろう。
「投信評価機関から高い評価」については、地銀(21年の19.2%から22年は17.9%)、第二地銀(17.6%から14.6%)が評価ポイントを下げている。反対に、ゆうちょ銀・郵便局(21.3%から22.4%)、証券会社(13.6%から17.9%)、IFA(7.9%から12.3%)は評価を高めているという対照的な結果になった。
市況が悪い時こそ、客観的なデータに基づく評価が求められると考えられるが、どの業態でも評価機関の評価には、大きな評価を与えていない。投信の普及には客観的なデータの活用が一段と重要になると考えられ、投信評価機関の評価に対する関心が低下している地銀、第二地銀の考え方の行方が気になるところだ。