投資上限額アップで「新しい鉄板セールストーク」誕生!?

最後はNISA投資上限額の増加、今の年間投資枠の上限は、つみたてNISAで40万円、一般NISAで120万円となっていますが、新しいNISAでは「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円になります。さらに、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同じ年に両方利用した場合、年間で最大360万円の非課税投資ができるのです。生涯の上限枠(1800万円、うち「成長投資枠」は1200万円まで)が新たに設けられていますが、NISA制度の恒久化と非課税投資の無期限化、そして、投資上限額の増加が加わることで、期限や金額を気にせず、ライフステージの状況に応じて一人ひとりが柔軟に投資できる制度が整う、という触れこみです。

今は歓迎ムードが多数を占める新しいNISAですが、もしかしたら、この制度拡充を目の当たりにして、実際、何をどうやったらいいのか、戸惑っている人がいるかもしれませんね。例えば、「『つみたて投資枠』が年間120万円ってことは、毎月10万円!? いやいや、そんなに積立できないし……」、「実質的に枠が取っ払われたので、逆にどれくらい積立したらいいかよく分からない」と、そんなお声もチラホラ……。使い勝手が良くなった分、これまで以上に真剣にNISAに、言い換えれば、自分自身のライフプランに向き合う必要がある、ということかもしれません。

でも、ある意味、そんな“高尚”な目的意識でNISAの利用をためらうようであれば、それはとてももったいないこと。なぜなら、今回の制度拡充に関係なく、資産形成のコツとは長期・積立・分散の投資の三大原則だからです。特に、「積立・分散投資に適した一定の投資信託」が投資対象商品として担保されている「つみたて投資枠」では、なるべく早く始めることこそが資産形成のコツになるからです。

そうは言っても、「つみたて投資枠」の商品選びで迷うなら……そうですね~、それなら、みんなのお気に入り商品が参考になるでしょう。例えば、インデックス投信を投資先でランキングすると、(1)米国株→ (2)先進国株→ (3)世界株→ (4)日本株の順番※2になります。あと、もし金額で迷うなら、年齢に関わらず、月2万円※3にしておきましょうか。これが、今回のNISA制度拡充で、「つみたて投資枠」の利用を実はためらいがちに眺めている、そんな人への私からのアドバイスです。

※2 つみたてNISA対象商品のインデックス投信について、投資先ごとに純資産額を合計したランキング(2022年10月6日時点、筆者調べ)

※3 つみたてNISAの月平均買付額は約1.7万円(2022年7~9月、金融庁データをもとに筆者が試算)

新しいNISAで大切になるのは、まずはお付き合いを始めること。それに新しいNISAだと、別れても(=売っても)、また付き合う(=枠の再利用)ことができますし……、あっ、これってもしかして、新しいNISAを現役世代の皆さまにおススメするときの、私にとって新しい、鉄板のセールストークになるかもしれないですね(笑)。おあとが宜しいようですから、今日はこの辺で。