制度は恒久化されるが…「今できること」がある!?
まずはNISA制度の恒久化について、率直に思ったのは「投資や資産形成の普及や啓発を進めるうえで、現役世代の皆さまの背中を後押しするのが少し難しくなるかも……」ということ。
というのも、現状の投資可能期間は一般NISAで2023年末まで(2024年に見直しが予定されていた新NISA制度でも2028年末まで)、つみたてNISAでも2042年末までですから、「NISAは期限のある制度なので、非課税投資のメリットを最大限享受するには、今から始めるのがセオリーです」なんて、いつも話をしていたものですから……。私の鉄板セールストークの1つがなくなってしまいました(苦笑)。
でも、制度が恒久化されるって、本質的にはそういうことですよね。どういうことかと言うと、いつから使ってもいいし、いつまで使ってもいい、そして、いったん止めてもまた始めてもいい――つまり、自分自身の都合にあわせて自由に使えるのが新しいNISAの最大の特徴だと思うのです。そして、この恒久化という方針を担保するべく、ある意味、必然的にと言ってもいいかもしれませんが、新しいNISAでは売却分について非課税投資枠の再利用が可能になるとか、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用も可能になるといったルールに繋がっているのだと思います。また、生涯にわたってNISAで利用できる非課税保有限度額(1800万円、うち「成長投資枠」は1200万円まで)を設けたことは、もちろん、お金持ち優遇の批判を避けるといった意味合いもありますが、より本質的には、いつから使ってもいい、という新しいNISAの特徴を担保するルールだと感じています。
なお、2024年からの新しいNISAは、2023年末までの一般NISAやつみたてNISA、そして、ジュニアNISAとは別モノになります。つまり、新しいNISAはいつから使ってもいいのですが、現行制度のNISAについては、実は今でも「非課税投資のメリットを最大限享受するには、今から始めるのがセオリーです」と言えるのです。
これが、NISA制度の恒久化を踏まえた、私からの皆さまへのアドバイス、言わば、「今できること」です。先ほど、鉄板のセールストークがなくなったと申し上げた私ですが、長年、金融経済教育に携わってきた者としての面目躍如、転んでもタダでは起きない、ということでしょうかね(笑)。