非課税保有期間の無期限化で「インカム投資」!?

次はNISAの非課税保有期間の無期限化。こうなると、「今、私が一般NISAを利用する人へ申し上げているアドバイスは、新しいNISAの『成長投資枠』には使えなくなるかも……」と思いました。でも、鉄板のセールストークがもう1つなくなってしまう、そんな切迫感はありません。というのも、最近はiDeCoやつみたてNISAを中心に、現役世代の皆さまへアドバイスをすることが多かったものですから。

そうは言っても、たまにではありますが、一般NISAについてアドバイスを求められることもあります。そんなときには、「一般NISAは非課税保有期間が5年に限られていますので、良いタイミングでうまく売り抜けることを前提に銘柄を選んでください」と申し上げていました。

これを短期売買、回転売買を推奨している、なんて言われると困ってしまうのですが(苦笑)、NISAは他の投資商品と損益通算ができないので損失を抱えたまま保有していても意味がないですし、5年という期限があるので株価の回復をいつまでも待てるわけではない、あくまでも、NISAの制度設計という観点からのアドバイスとご理解ください。そもそも、そして、今でもNISAは「少額」投資非課税制度、投資のリスクを「少額」という金額で限定したうえで、アップサイドの非課税メリットを取りにいく制度だと、そんなことも併せて説明することが多いですね。もちろん、言わずもがなではありますが、誰にでも同じようにアドバイスをしているわけではありません。基本的には、ある程度の投資資金をお持ちで、かつ、投資経験もあり、自己判断で銘柄選択ができる人向けに紹介している話です。

そんな一般NISA向けのアドバイスが、新しいNISAの「成長投資枠」だと、どのように変わるのか。非課税保有期間が無期限になると、良いタイミングで売り抜けること、つまりキャピタルゲインを狙うだけではなく、配当金や分配金を非課税で受け取り続けること、つまりインカムゲインを目的にした投資商品(=インカム投資)も視野に入ってくる、そんなアドバイスをしてみたいですね。そして、「インカム投資」と言えば、世界債券やハイ・イールド債券もありますが、キャピタルゲインも狙える高配当株やREIT(不動産投資信託)等のほうが、新しいNISAの「成長投資枠」のアドバイスにはしっくりくる、そんなふうに思っています。