「働いていると年金は受けられないらしい……」「まだ年金を受け取るつもりがないから」といって年金受給の手続きをしていない人がいます。
ただ、必要な手続きを忘れてしまうと思わぬ不利益を被りかねないことを知っている人は多くないように思います。
そもそも若い世代の人は、年金は “時が来たら国が振り込んでくれる”ものではなく、自身での手続きが必要なもの、ということを知らないかもしれません。
今回は、そんな「受給手続き」についての誤解を解いていきます。
年金が受けられるのに手続きをしていない人がいる!?
老齢年金は受給資格を満たし、支給開始年齢が来ると、その誕生日の前日から受給の手続きができるようになります(年金の受給請求といいます)。
しかし、先述の通り、年金を受けられる支給開始年齢になっているにもかかわらず、在職中であることや収入の多さを理由に手続きをしていない人もいます。
「収入が多ければ年金がカットされることもある」は確かに間違ってはいません。60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金が在職老齢年金制度(47万円基準)によって全額支給停止となる場合は、請求手続きして年金証書は発行されるものの、その間指定した口座に年金が振り込まれないことになるでしょう※1。
※1 在職老齢年金制度のしくみは第5回『60歳以降、働くと年金がカットされる!? 「年金のために給料を減らす」は得策か』をご参照。
ですが、たとえ働いていてもそこまで収入が多くないと、47万円基準で全額はカットされず一部は支給されることになります。65歳以降についても、老齢厚生年金の報酬比例部分は同様で、経過的加算額※2、老齢基礎年金はたとえ収入が多くてもカットされず全額受給することが可能です。
※2老齢基礎年金に相当する差額加算部分。
また、そもそもの話とはなりますが、在職老齢年金制度は厚生年金に加入している人(70歳未満が対象)や同じ勤務条件で70歳以降勤務して続けている人が対象ですので、その対象とならない自営業の人や不動産収入のみで生活している人などは、収入が高くても年金はカットされません。