インパクト投資の市場規模は年々拡大

インパクト投資に関する世界的なネットワークであるGIINが発表したレポートでは、2021年のインパクト投資の世界市場規模を1兆1640億ドルと見積もった。2020年の4040億ドルから2倍以上に市場が拡大していることがわかる。市場の大半はアメリカやヨーロッパに集中しているが、自社のインパクトを公開する企業の増加により、日本でもインパクト投資の市場規模は年々拡大している。

インパクト投資を推進する別の国際組織、GSGの日本国内諮問委員会が2022年3月に発表したデータでは、厳密な市場推計ではないとしながらも、日本国内のインパクト投資残高は1兆3204億円、最大推計値で5兆3300億円にのぼるとしている。

さらに、日本政府は来年度から上場企業に対して、有価証券報告書に非財務情報の明記を義務付ける方針を打ち出している。これらのことからも、インパクト投資は今後も拡大していくと考えられる。

投資先のインパクト情報は、企業ホームページのIRやサステナビリティの項目に「統合報告書」として記載されていることが多い。また、インパクト投資の考え方を取り入れた投資信託も登場しており、個人投資家も参画しやすくなっている。

日本人は投資を避け、貯蓄を好む国民性があるとされる。金融経済教育により投資の大切さは広まりつつあるものの、お金儲けのイメージを持つ人も決して少なくはないだろう。しかし、インパクト投資のように投資を通じて社会とつながり、社会貢献できる第3の軸といえる考え方もある。これを機に、自身の投資目的を今一度見つめ直してみてもいいだろう。

文/中曽根 茜(ペロンパワークス)