脱炭素化が急速に進む中、各自動車メーカーが新たな電気自動車(EV)戦略を打ち出している。2月から4 月にかけて、日本・欧州・米国の自動車メーカーのEV戦略を記事にしてきたが、その後も続々と情報がアップデートされている。自動車業界を取り巻く最新の情報をキャッチアップするとともに、日・欧・米の自動車メーカーのEV戦略を振り返る。

世界自動車販売ランキング6位と7位がEV戦略を次々と発表

2021年の世界自動車販売ランキングで6位(538万台)だった欧州ステランティス(21年1月に仏グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズが統合)がEV化に舵を切った。同社は、これまでハイブリッド車(HV)に重きを置き、EVに対しては慎重な姿勢をとっていたが、EV化の波に押された形で2022年3月にEV化を鮮明にした中期経営計画を発表した。30年までに欧州での新車販売の100%をEVにし、500万台の世界販売を目指す。米国では同50%と従来のプラグインハイブリッド車(PHV)と合わせて40%としていた目標を引き上げた。グループ全体のEV車種数も発表当時の19車種から75車種以上に増やす計画だ。

2021年の世界自動車販売ランキング7位(448万台)で1年前に日本の自動車メーカーとしては真っ先に脱エンジンを宣言したホンダは、22年4月に具体的な数字と伴う電動化戦略を発表した。30年までにグローバルで30車種のEVを展開し、EVの年間生産200万台超を計画。今後10年で電動化・ソフトウェア領域への投資に約5兆円を投入し、電動化を加速するといった内容だ。次世代電池とされる全固体電池の実証ラインに着手し、2024年春に立ち上げに向け、約430億円を投資する計画も併せて発表した。