国内メーカーの動きも活発に

スバルは5月12日、群馬県の大泉工場(群馬県大泉町)に2027年以降稼働させるEV専用の生産工場を新設する計画を明らかにした。国内でEV工場の新設が明らかになるのは同社が初めてとみられる。

続く5月20日には、日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽自動車のEVを、それぞれ今夏に発売すると発表した。国内新車販売の約4割を占める軽自動車でも本格的な電動化が進むかが注目される。

さらに国内主要メーカーの動きはどうなのだろうか。最新の動きを振り返りたい。

トヨタ、日産、ホンダなど日本メーカーの電動化戦略

ホンダが新たな電動化戦略を発表したことで、日本の大手自動車メーカー3社の電動化戦略が出そろった。今後5-10年のEV関連の計画をみると、トヨタ自動車は30年のEV販売台数を350万台とし、4兆円(電池投資は2兆円)をEV関連に投資する計画だ。同年までに30車種のEVを投入し、高級車ブランド「レクサス」は35年にグローバルでEV専業とする挑戦的な目標を掲げる。日産自動車は、今後5年で電動車全体で約2兆円を投資し、30年度までに15車種のEVを投入する。ホンダは先の通り、30年までにグローバルで30車種のEVを展開し、EVの年間生産200万台超を計画する。電動化・ソフトウェア領域関係の投資は約5兆円を投入する予定だ。

電気自動車となると電池の調達や開発、車台(プラットフォーム)の開発などエンジン車以上にアライアンス・協業関係が重要になる。電池調達では各社、EV電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)などと連携や内製化などを行っているが、各社のスタンスは異なる。トヨタは、21年10月に豊田通商と共同出資して米国に自動車要の電池生産工場を新設すると発表。25年からの稼働を目指す。電池関連ではすでにパナソニックと共同出資で会社を設立している。21年9月に開いた「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」ではパートナーとの連携を強化していくとともに、電池関連のグループ内生産の迅速な立ち上げも並行して行っていくと強調している。

日産はルノーと三菱自動車とのアライアンスを強化して電動化戦略を進める。アライアンス3社で30年度までに電池の生産能力を現在の20倍に高め、EV販売価格のカギを握るバッテリーコストを2026年には50%、2028年には65%削減することを目指す。車台についても30年までに5つのEV専用プラットフォーム(車台)をベースに新型EVを続々と投入する計画だ。

ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)やソニーグループとの提携が鍵を握ってくるだろう。GMとは4月5日にGMの次世代アルティウムバッテリーを搭載したEVシリーズを共同開発すると発表。量販価格帯の新たなEVシリーズを2027年以降、北米を皮切りに投入予定していく方針だ。同時に電動化コストの更なる低減、EVの性能向上などを目指し、将来のEV向けバッテリー技術の領域における協業についても検討していく。ソニーグループとの提携についても三部敏宏社長は「それぞれの得意とする技術ドメインは異なり、両社によって設立される新会社には、大いなる可能性があると確信している」と期待を込め、EVの初期モデルの販売は25年を想定する。