EV投資には莫大な投資が必要だが、足元では不安材料が山積み…

自動車メーカー各社はEV関連だけで数兆円規模の投資を進める。そのためには外部資金の獲得が重要となる。EVは投資先行で収益がすぐに出てくるとは考えにくい。持続可能な経営をするためにも、足元の経営を維持できていることが大前提だ。ただ、半導体不足による減産、材料価格高騰、直近ではロシアによるウクライナ侵攻や中国国内でのロックダウン(都市封鎖)など、さまざまな不安要素が渦巻いている。21年の自動車の世界販売台数トップのトヨタ、21年のEV世界販売台数トップの米国のテスラにもその影響が見え隠れしている。

トヨタは5月11日に発表した22年3月期の連結決算(国際会計基準)は、円安傾向も後押しし、営業利益が前期比36%増の2兆9956億円だった。6年ぶりに国内企業(トヨタ)の過去最高を更新し、リーマンショック以降の体質改善が功を奏した結果となった。ホンダや日産も新型コロナウイルス感染拡大による影響が直撃した前期(21年3月期)より増収増益となった。一方で、トヨタの2023年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が2兆4000億円(前期比20%減)になる見通しと発表。グローバルでの材料価格の高騰などで前期に比べて原材料の値上がりが影響するとして減益予想となった。

テスラは、4月に発表した22年1-3月期(第1四半期)決算は温暖化ガス排出枠(クレジット)売却収入などが利益を押し上げた形となり、過去最高益を記録した。同期の世界販売台数は前年同期比68%増の31万48台と他社に比べて好調な数字を叩きだした。ただ、中国・上海市による新型コロナウイルス感染対策のロックダウンで同社工場が操業停止になったことなどが響き、フル生産とは言えない状況だ。さらに車両価格も小刻みに値上げをし、その理由は材料価格の高騰とされている。