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一度経営破綻し、再び上場した企業といえば日本航空が有名です。同社は2010年に経営破綻し上場廃止となりますが、今年8月に亡くなった稲盛和夫氏によってV字回復を果たし、2012年に再上場しました。

今月14日、同じく経営破綻した航空会社「スカイマーク」が再上場する予定です。公開価格(※)は本日決定される予定で、通常は前もって決められた仮条件1150~1170円の間で設定されます。

※公開価格:上場前に投資家が購入する価格

どうしてスカイマークは破綻したのでしょうか。経緯を押さえましょう。

経営破綻したスカイマークが東証に復帰

スカイマークの経営破綻はおよそ8年前です。収益の悪化や資金繰りの失敗から、2015年1月に民事再生法の適用を申請しました。

スカイマークが破綻した理由の1つに円安があると考えられています。当時、市場ではアメリカの金融緩和の縮小が意識されていました。金融政策を反映しやすいとされる2年債利回りは2014年3月ごろから上昇を始め、ドル円も年の後半から上昇を始めます。そして同年10月2日、市場の思惑通りアメリカは量的金融緩和の終了を表明しました。

一方、日本銀行は10月末、反対に金融緩和を拡大します。日米の金融政策の違いが意識され、ドル円は120円台まで上昇しました。

【日本銀行の量的金融緩和拡大の内容】

出所:日本銀行 「量的・質的金融緩和」の拡大

【ドル円の推移】

Investing.comより著者作成

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航空会社にとって、円安は一般的に減収とコスト増加を招きます。スカイマークは他社との競争などで収益が悪化していたところ、円安によってさらにダメージを受けました。航空機購入を巡るトラブルから請求された違約金も、経営に重くのしかかります。スカイマークは自力の再建を断念し、法的整理を選択しました。

破綻したスカイマークは、ANAホールディングスや投資会社などから支援を受け再建を目指します。業績は順調に回復し、2019年3月期には90億円を超える純利益を得ていました。

スカイマークは2019年10月に上場を申請しますが、コロナ禍を受けて取り下げています。今期は黒字が見込めることから、再び上場を申請し、グロース市場への上場が認められました。

【スカイマークの業績】

※2023年3月期は、2022年11月10日時点における同社の予想

出所:日本取引所グループ 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)(スカイマーク)
出所:スカイマーク 2023年3月期の業績予想について