単純に過去のリターンが続くとは限らない

もう一つ、シミュレーションの際に使う投資のリターン。たまに使われている場面を見かけるのが、ファンドの実際の成績です。5年や10年などの成績、例えばあるファンドのマンスリーレポートなどです。ここ数年相場がよかったので、多くの期間で良い成績の数字が並んでいます。例えば、ある外国株式インデックスでは、なんと10年間の年率リターンは15%を超えています。

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但しこの数字は、2012~2022年という限られた期間でのリターンになります。この数字が将来も続くとは限りません。実際に過去のリターンを見てみると、直近の10年より悪い年の方が多いのです(下記)。 

シミュレーションをする際には、過去10年程度のリターンを使われるのも良いのですが、これから期待するリターン(期待リターン)を使う方が良いと思っています。

ただ、期待リターンを決めると言ってもこれが非常に難しいのです。その期待する数値が妥当かどうかも判断できません。ですが、安心してください。良いデータがあるのです。

先ほど、GPIFの期待リターンを紹介いたしましたが、GPIFは、期待リターンを算出するにあたり、過去のデータだけではなく、”投資家の今後の見通し”やインフレ・経済成長など、さまざまな要素を加味し想定しています。こういったデータも目安になります。また自分で想定されるのも1つの方法です。

相談の場面では、このような数値をもとに安全を考え、抑えめの期待リターンでシミュレーションしています。 

注意点に留意しつつ、iDeCoの試算にも活用を!

今回は、シミュレーションに使われる値やシミュレーション結果で気を付けて欲しいことについて、私なりに計算結果などを使って説明させていただきました。シミュレーションは、使う数値によって簡単に結果が変わってしまいますが、やはりシミュレーションをした方が、予定や対策なども立てやすくなります。ぜひ上手く活用していただければと思います。