積立投資で成功するために必要な2つのセオリー

お恥ずかしい話ですが、当時の私には積立投資の知識が乏しかったため、そのメリットや効果を実感するまでに時間がかかりました。その後、管理職となって部下を指導する立場となり、積立について学び直した結果、その成功には2つのセオリーがあると考えました。

1つ目は、「どんなに市場が下がっても投資をやめない」ということ。積立投資は時間を味方につけながら、長期的に成果を生み出す投資方法なので、最低限、積立を継続することが必要になります。

このことは、さらに2つの意味を含んでいます。どんなにマーケットが下がっても、マーケットから退出することなく投資し続けるということ。もう1つは、マーケットが下がってしまっても積立をやめないということです。この2つさえ守れば、積立投資は必ず成功すると言っても過言ではないでしょう。

2つ目は、「マーケットのタイミングや過去の運用実績で判断しない」ということ。積立投資はドルコスト平均法の効果でパフォーマンスを出していく方法です。つまり、価格が安いときには多くの口数を買うことができますから、それらを溜め込みながら、価格が上昇したときに初めてその投資成果を得るわけです。言い換えると、価格が下落する局面があるからこそ、パフォーマンスが上がる投資手法だとも言え、投資を開始するタイミングは関係ないことになります。

それに対して一括投資でパフォーマンスを上げるためには、商品を買い付けるタイミングが全てとさえ言えるでしょう。

さらに、積立における投資対象商品について、過去の運用実績だけで判断しないことも大切になります。過去の運用実績はあくまでも過去のものであり、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。最も重要な点は、将来にわたってパフォーマンスを継続的に出し続けることができる仕組みを持った商品かどうかです。

お金持ちを相手にする仕事から「お金持ちを作る」仕事へ

私は野村證券を退職した後、ご縁があって、ある大手外資系生命保険会社で研修の仕事をしています。証券会社の仕事というのは、主に富裕層のお客様を対象にしたビジネスです。すでに保有されている多額の金融資産をどのように管理するか、アドバイスをする仕事だと言えるでしょう。

一方で、生命保険会社での研修は、20代以降の若い世代に向けた資産形成をアドバイスできるように教育する仕事です。対象としているお客様の層が全く違います。

証券会社での30年間は、いわゆるお金持ちを相手にした仕事でしたが、人生の後半に差し掛かった今、今度は「お金持ちを作る」仕事がしたいという気持ちが強くなっています。

お金持ちを作るには、長期積立投資が不可欠です。そうはいっても、皆さん仕事や家事を抱えながら投資するわけですから、株式の個別銘柄を調べたりするといった時間を捻出するのは難しいはずです。しかも、全ての時間を投資につぎ込んでいるプロでさえ、なかなかうまくいかないのが運用の世界です。

しかし、長期積立投資であれば再現性があり、「誰がやってもうまくいく方法」だと私は信じています。一人でも多くの方が、一刻も早く積立を始め、多くのお金持ちが日本に誕生することを願いながら、今は仕事をしているのです。