30年以上にわたって野村證券に勤務し、支店長などの要職も務めた竹本政祠氏。現在は大手外資系生命保険会社のアドバイザー向けの研修講師なども務め、主に「全世界株」を対象にした積立投資のメリットを説いているそうです。まさに「投資のプロ」と言っても過言ではない竹本氏が、なぜ「全世界株」の積立投資にたどり着いたのか。その理由を2回に分けて語ってもらいました。

DC運用でグローバルエクイティを選択した本当の理由

私は1991年に野村證券に入社しました。当時の日本はバブルが崩壊し、その後の「失われた20年」に突入していった時期。そうした中、第一線でセールス活動をスタートしてキャリアを積み重ねていき、支店長を経験することもできました。

一方で、約20年前に会社の年金制度が企業型確定拠年金(DC)に切り替わったのを機に、私はDCで積立投資を始めました。当初、私は積立投資に全く期待していませんでした。まさに血気盛んな「証券マン」の発想として、「お金はトレーディングで稼ぐもの」だと思っていたからです。「積立投資など回りくどいし、たいして儲かりもしないだろう」というのが、当時の偽らざる気持ちでした。

このDCの投資対象として、私はグローバルエクイティを選びました。しかし、この選択も真剣に考えた結果ではありません。申込用紙が配られたときに、深く考えず「グローバルエクイティ」の項目にボールペンで丸印をつけただけです。

振り返ってみると、2000年代の初頭というのは、米国でITバブルが崩壊した直後でした。また、日本では金融機関の不良債権問題が取り沙汰されていたころ。しかも、当時エクイティファンドといえば「日本株ファンド」を指す時代でもありました。

しかし、私はあまり深く考えても仕方がないと思い、「全世界」をまとめて買うことができるグローバルエクイティを選択したわけです。もっとも、証券マンとしての嗅覚もあったのかもしれませんが、「預金」だけは絶対に選んではいけないと思っていました。

余談ですが、隣の席の同僚の申し込み用紙をこっそり覗き見たら、なんと「預金」に丸印をつけていました。正直、「普段の営業ではお客様にリスク商品を積極的に案内しているくせに!」と思ったのをよく覚えています。あれから20年が経った今、その同僚がもし預金のままにしていたら、きっと後悔していることでしょう。