予想外の結果を受けて積立投資を真剣に学ぶ
とはいえ、証券マンとして日常業務に忙殺されていた私は、積立を始めてから長い間、DCの運用状況など全く見ていませんでした。実は、途中で換金できないので興味がなかったのと、リーマンショックもあったため、「どうせ運用などうまくいっていないだろう」と思っていたのです。
ところが、積立を開始して15年ほどたったころ、初めて運用報告書の封筒を開けてみて驚きました。なんと、想定外に大きく値上がりしていたのです。
このときに初めて、積立投資の効果を実感したのと同時に、なぜ値上がりしたのかを自分なりに検証してみました。すると、さまざまな理由があることが分かりました。
まずは、「ほったらかし」にしておいたのが功を奏したということでした。それまで一度も運用報告書を開けたことがないほどでしたから、その間も毎月一定金額の投資信託が買い付けられ、口数が増えていたのです。さらに、途中で換金できなかったことも味方してくれました。もし一括投資をしていたら、リーマンショックのときなど怖くなって換金してしまっていたかもしれません。
後から振り返ると、大暴落の最中でもコツコツと買い続けたことと、売らなかったからこそパフォーマンスを上げることができたのだと実感しました。
しかし、最も重要な点は、「全世界株」に投資をしていたことだと分かりました。特定の分野やテーマ、あるいは特定の国に投資をするのではなく、まんべんなく全世界株に投資していたことが、高いパフォーマンスを上げられた最大の理由だったのです。
2000年に入って以降だけでも、ITバブルの崩壊やBRICsブーム、リーマンショックとその後の量的緩和政策による世界的な株価上昇など、さまざまイベントが起こりました。それらを全て、正確に予測することは不可能です。しかし、全世界株に投資をすることで、どんな時期でもマーケットの恩恵を受けることができたわけです。
積立を始めたとき、いわば適当に「グローバルエクイティ」を選んだにもかかわらず、それが実は最善の選択だったということに改めて気付かされました。