運用で積み上げた資産を取り崩すより、年金でもらえる安心感
現在、フィンウェル研究所の野尻哲史さん主催のデキュムレーション研究会で、専門家の方々と老後の資産の取り崩し、活用について定期的に議論をさせていただいて、つくづく思うのは、引退後は現役時代のような収入がないだけに、安心して経済的に暮らせることの重みが増し、それが行動を制約することです。また、資産の取り崩し方を決める上で大きな影響があるのは、マーケットの値動きだけでなく、いつまで自分が生きるか、や認知症になるかもといったものまで、お金以外の、かつ個人によって大きく異なる確定できないファクターが多くなります。
こういったことから、資産の取り崩し方法の決定にはいろいろな困難が伴うわけですが、もし、生活費がほぼ公的年金などの終身年金で賄えるとすれば、老後に備えて準備してきた資産をその後も少し運用したり、ある程度の見込みのもと老後生活を豊かに彩るために取り崩したり、といったことが安心してできると思うのです。
パートナーがいる方であれば、自分が一人になった時は、自分の公的年金とパートナーの遺族厚生年金を含めた終身年金で 自分の日々の暮らしができれば、相当安心です。給与内枠選択制はこの遺族厚生年金まで影響する話です。今の暮らしも大切、でも老後自分で稼げなくなった時に頼りになる厚生年金について、少し長い時間軸でよく考えて、金額を決めるようにして頂けたらと思います。