10月の米国株マーケットの見通しとポイント

下落相場が続く厳しい米国マーケットですが、季節性アノマリーに従えば10月は強気相場の月です。実際、1950年~2021年5月までのS&P500の月別パフォーマンスを比較すると、9月平均は−0.5%と年間でもっとパフォーマンスが低く、10月平均は+0.8%という数値が出ています。

つまり過去のデータに従えば、10月のどこかで株価が底値から反発を試みる展開も“確率的には”起こり得ること意味しています。また例年10月以降~翌年1月にかけて米国株は強気相場の月が続くため、悲観一色のマーケットも中長期的に見れば「絶好の買い場」であったことも珍しくありません。

また恐怖指数を表す「VIX指数」の数値も、9月の最終週から弱気相場の目安である30を連日越えていますが、市場参加者の恐怖が強くなった先に、割安銘柄から「買い」が入る展開も充分に考えられるでしょう。

おわりに 

ここ数年で最も厳しい展開が続く米国株式市場に不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

特に新型コロナ以降の2020年から投資を始めた方にとっては、長く不安定な相場展開によって投資そのものを諦めそうになる方がいるかもしれません。

しかし、長期的な視点で俯瞰すれば米国経済は右肩上がりの成長を続けています。

実際、2008年に起きたリーマンショックによって米国でも多くの人が投資をやめてしまったそうですが、仮に投資を続けていれば10年に1度の買い場の恩恵を受けて、現在は資産を大幅に増やす事に成功した投資家がいることも事実なのです。

投資を続けている以上はリスクがつきものであり、苦しい時期が必ずあるものです。

もちろん筆者自身も悩むときもありますが、大切なことはマーケットに一喜一憂しないことです。つまり「良い投資の習慣」を身につけることこそ、資産形成や資産運用において最も大切な心構えなのです。

じっくりと種から植物を育てるように、焦らずに投資を続けること――これこそ賢明な投資家への道ではないでしょうか。

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。