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近年は海運株が好調です。海運関連銘柄の株価を表す「東証株価指数(海運業)」は2021年から顕著に上昇し、2022年8月末は1234.13ポイントを記録しました。これは2021年1月末(300.97ポイント)から4倍以上になっている計算です。

【東証株価指数33業種(海運業)の推移(月足終値)】

Investing.comより著者作成

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しかし現在これだけ好調な海運業も、わずか数年前は冬の時代を迎えていました。例えば老舗の海運企業「第一中央汽船」は7年前に経営破綻しています。同社は東証一部に上場する大企業でもありました。

なぜ第一中央汽船が破綻に追い込まれたのでしょうか。当時の経緯を振り返りましょう。

住友家の老舗海運会社が破綻

第一中央汽船の起源は明治時代にまでさかのぼります。住友家は所有していた別子銅山(愛媛県新居浜市)において、自社船で物資や従業員の輸送を行っていました。その後、1892年に貨客も運び始めたことが、第一中央汽船の始まりとなります。

近年の第一中央汽船は、鉄鉱石や石炭などをばら積み船で運ぶ海運会社でした。ダイヤを定めず荷主の貨物を運ぶ不定期船サービスを中心に展開し、順調に業績を伸ばします。

しかしリーマンショックを受け、海運市況は急激に悪化しました。鉄鉱石などを運ぶ不定期船の運賃を表す「バルチック海運指数」を見てみると、2008年に急落して以降2015年まで低迷していることが分かります。

【バルチック海運指数の推移(月足終値)】

Investing.comより著者作成

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第一中央汽船も業績の悪化に見舞われました。財務の改善に取り組んだものの、収益の改善が見込めず、2015年9月29日に約1196億円の負債を抱え破綻しました。