なぜ破綻した第一中央汽船が存続しているの?

第一中央汽船は破綻し上場廃止となったものの、現在も事業を継続しています。第一中央汽船が選択した破綻処理は「民事再生手続き」と呼ばれるもので、これは債務者(このケースでは第一中央汽船)を存続させながら事業の再建を目指す手続きのことです。

対して「破産手続き」は、債務者の事業を停止し、残余財産を債権者に分配することで会社を清算してしまう手続きをいいます。破産手続きが行われた会社は、一般的に解散されるため存続できません。

民事再生手続きがうまくいかない場合、破産手続きに切り替えられる可能性もありました。しかし第一中央汽船は2016年3月9日、資金援助してくれるスポンサーを獲得し、22億9000万円の出資と3億9000万円の貸し付けを受けることに成功します。これらの資金をもとに事業を立て直すことができたため、現在まで存続することができたのです。

なお、スポンサーからの出資に伴い、それまでの株主資本は100%減資されました。つまり第一中央汽船株式を上場廃止前に購入していた投資家は、株主としての権利が一切なくなり、投資元本の全てを失ったということです。