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12年前の9月13日、業務停止命令を受けていたある銀行が営業を再開します。しかし、通常業務のために開店したわけではありません。銀行の名前は「日本振興銀行」、営業再開は、経営破綻に伴う預金の払い戻し手続きのためでした。業務停止命令は同行から破綻の申し出があったために出されたもので、報道によると1日で50億円を超える解約の申し込みがあったようです。

日本振興銀行は2010年9月10日に経営破綻し、日本で初めて「ペイオフ」が発動された銀行となりました。安全なはずの銀行が、なぜ破綻することになったのでしょうか。

負債6800億円の破綻は銀行業で戦後最悪

日本振興銀行は、主に中小企業向けの融資を手掛けていた銀行です。開業は2004年と比較的若い銀行でしたが、金融庁顧問を務めた経営コンサルタントが中心となって立ち上げたことから、開業時から注目を集めていました。

当初は中小企業への融資が順調に拡大しますが、拡充された政府の中小企業向け融資制度と競合したため、日本振興銀行はメインの収益を債権買い取りにシフトし打開を図ります。債権買い取りは、取得した債権に基づき債務者から資金を回収し、収益を得る事業です。2010年3月期には331億円の収益を計上し、事業の転換は奏功したかに見えました。

しかし、日本振興銀行が買い取った債権のうち、商工ローン大手「SFCG」から買い取った債権が二重譲渡されていたことが発覚します。つまり日本振興銀行は、債権の査定を見誤り、実体のない債権をつかまされていたのです。報道によると、日本振興銀行がSFCGから買い取った債権は1000億円を超えていました。

このため、日本振興銀行は331億円もの収益を得た2010年3月期においても、引当金の積み増しなどで51億円の最終赤字に転落します。日本振興銀行は二重譲渡先の金融機関に対し債権の帰属を求めて提訴しますが、2010年7月に敗訴し、資金回収は困難な状況に陥りました。

さらに日本振興銀行は、不良債権の精査の結果、2010年6月末時点で1870億円の債務超過に転落します。債務超過を解消する見込みが立たないことから、2010年9月10日に金融庁に破綻を申し出ました。東京商工リサーチによると、破綻時の負債総額はおよそ6805億にも上り、銀行業としては戦後最悪の数値でした。