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“大腸がん”に関する調査研究や検診の受診啓発などを実施する特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会が、9月1日を「大腸がん検診の日」として制定した。

日本対がん協会が提唱する「がん征圧月間」が9月であることから、その初日である9月1日を記念日とした。

欠かせない定期的な健康診断

自分事で恐縮だが、20年前のビジネスマン時代に自席に返ると、近くの同僚が「赤紙が来ています」と声をかけてきた。赤紙とは、健康診断の結果、深刻な課題点が発見され再検査の必要を伝える赤色の通知書のことだ。便の潜血検査の結果、再検査が必要だとのこと。このため、改めて3度の潜血検査をしたが、いずれの場合にも潜血が見られ、大腸の精密検査が必要との診断が下った。頑健とはいえないが病弱でもない筆者にとって、赤紙は縁遠い存在だった。大腸がんの恐怖が脳裏をよぎった。

先輩の義姉が大腸がんで死亡した話を直前に聞いていたし、1カ月ほど前に後輩が胃がんを悪化させ死亡したこともあり、さすがに不安になった。会社の医長に面談に行くと、検査結果から、がんの可能性がないとはいえないと言われ、いっそう落ち込んだ。通勤時、後ろから追いついてきた同僚に背中をドンと叩かれ、「背中が丸いです」と注意されたほどだ。

内視鏡検査となったが、大腸内に長さが1.5センチもあるものを含め4つの異形ポリープが見つかり、3泊4日の入院となる。翌日も見舞いに来てくれた妻と長女が、帰途に就こうとしていたところ、たまたま喫茶室での院長による大腸ポリープなどについての説明会があることを知り、参加した。講義を聴いた2人は、前日に見た筆者のポリープの形状から判断して、大腸がんであることを覚悟した。ところが、2週間後に判明した組織検査の結果は、意外にも良性であることが判明し、お互いにホッした。

大腸と胃腸は、その後定期的に内視鏡検査をしているが、幸い大事には至らないでいる。先に述べた胃がんを患い急死した後輩は、再検査を促されていたにもかかわらず引き延ばしていた。しかし、体調の急変を自覚して病院に行ったときには、がんが他の場所に転移するなどして手の施しようがなかった。

一方、同期の友人に胃がん、大腸がんを立て続けに患った人がいるが、早期に治療をした結果、その後何十年と元気な生活を送っている。近所でも、がんにとどまらず脳梗塞、心臓病と多くの病気を経験したが、素早い対応をしたおかげで85歳の今でも、なお元気いっぱいの知人がいる。医師に定期的に面談する機会がある人は、かえって深刻な事態になることが少ないのではないだろうか。

他方、健康に人一倍気を使い、人間ドックを繰り返す人がいたが、毎年のごとく専門病院で精密検査を受けるよう要請される。しかし、専門病院に行くと何ら問題なしとされることの繰り返しで、ついに簡便な自治体の健康診断に切り替えた。自分の体と対話する中で、最適の健康診断を選択することが肝要なようだ。