進化するがん治療の下でも欠かせない定例の健康診断

がんの治療としては、まず手術による治療があり、次に放射線による治療、さらには抗がん剤を活用しての化学療法がある。また、最近は免疫療法も注目され、これらの4つの療法はがんの4大治療法といわれる。

大腸がんの治療では手術でがんを取り去ることが主体だ。特に早期がんでは、開腹手術をすることなく内視鏡での手術が中心で、大腸がん治療の約60%が内視鏡による治療とされる。

先に述べた通り、食事の欧米化もあり大腸がんが増加しているが、従来はがんといえば胃がんであった。しかし、胃がんの98%がピロリ菌の感染であり、この対策が進んだことなどから胃がんは減少した。感染型といえる胃がんに代わり、患者数が最大のがんは、いまや欧米に多い大腸がんだ。食生活の欧米化だけでなく、運動不足や肥満、糖尿病なども影響する。

がんであることを知ると、精神的なショックが大きく、1年以内の自殺率が20倍以上になるとの調査結果もある。従来からの“不治の病”とのイメージが根強いせいだろう。しかし、成人の場合、がん全体での5年間の生存率は約7割であり、10年の生存率でも約6割と改善している。

全てとは言い切れないが、ほとんどのがんは、早く見つけて適切に治療すれば治る時代になったようだ。運動、栄養、休息などに心を配りつつ、定期的に健康診断を受けることが欠かせない。

執筆/大川洋三

慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。