借金1000兆円以上の日本は大丈夫?

国債の破綻となると、決まって話題に上るのが日本です。日本の国債残高は一貫して右肩上がりの状況であり、2022年度末には1026兆円となることが見込まれています。債務残高の対GDP比は250%を超えており、先進国では他に類を見ません。

【対GDP債務残高の国際比較(2021年)】
・日本:256.9%
・アメリカ:133.3%
・フランス:115.8%
・イギリス:108.5%
・ドイツ:72.5%

出所:財務省 財政に関する資料

これだけ負債を抱えると、どうしても破綻が懸念されます。しかし、日本の破綻を否定する人も少なくありません。その多くは日本の対外資産の大きさを論拠にしているようです。

日本は1249兆8789億円もの対外資産を持っています(2021年末時点)。破綻否定派によって「対外資産を現金化すれば負債をすぐに返済できる」という主張がしばしばなされてきました。

しかし、資産の現金化は額面通りにいかないケースも多いでしょう。例えば日本は2021年末時点で世界に1兆9871.69億ドル(1ドル=135円で約268.3兆円)の対外直接投資残高を持ちますが、新興国への投資も少なくありません。資金の回収に難航するケースが懸念されます。

また、そもそも日本は対外負債も838兆6948億円あり、これを対外資産から差し引いた対外純資産は411兆1841億円です。1026兆円もの負債返済には到底届きません。

出所:財務省 令和3年末現在本邦対外資産負債残高の概要
出所:ジェトロ 直接投資統計

現状、日本の破綻可能性が高いというわけではありませんが、日本の対外資産をもって破綻を否定することは難しそうです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。