ロシアも自国通貨「ルーブル」を米ドルと連動させていましたが、経済状況の悪化などが反映されルーブルは下落します。IMFがロシアを支援しますが、資本流出とルーブル安に歯止めはかかりませんでした。
そして1998年8月17日、ロシアは対外債務の90日間の支払い停止、および短期国債のデフォルトを発表します。同時に米ドルとの連動を弱め、ルーブルの変動範囲を拡大したことから、ルーブルは大きく下落しました。ロシア経済は原油価格が上昇する2003年ごろまで停滞することになります。
【ロシア財政危機におけるルーブル円の推移】
参考:内閣府 経済社会総合研究所 アジア通貨危機とその伝播
ロシアルーブルはその後、2005年に連動の対象にユーロを含めた通貨バスケット制を採用し、2014年に変動相場制へ移行しました。
ロシアだけじゃない! 国債が破綻した事例
安全性が高いとされている債券の中でも、国債は比較的低リスクの商品です。それだけに、ロシア国債のデフォルトは市場に大きな影響を与えました。
もっとも、国債がデフォルトした例はロシア以外にもあります。例えば2001年にアルゼンチンが、2008年にエクアドルがデフォルトを宣言しました。今年5月にはスリランカがデフォルト状態に入り、同国経済は混迷しています。
新興国の債券は高い金利が設定されることが多く人気ですが、高金利の背景には財政上のリスクがあることを忘れてはいけません。債券の金利は、基本的に破綻可能性が大きいほど高くなることを覚えておきましょう。