「レバナス」で失敗しないためのポイントとは?
最後に筆者が考える、「レバナス」を含む海外レバレッジ型投信で大きな失敗を避けるために覚えておきたいポイントを解説する。
ポイント①:「ポジションを持っている」という感覚をもつ
投資信託の場合、信用取引のようにいつまでに建玉を決済しないといけないという期限はない。しかし、レバレッジ型投信の仕組みそのものは、先物を買い建てていることと変わりはなく、株価の方向性によっては短期間で基準価額が大幅に毀損(きそん)するリスクを持ちあわせている。したがって、購入前にあらかじめ「基準価額が○%下がったら、損失が出ていても売る」というルールを自分なりに決めておくことも必要だ。買ったままで安心せず、「ポジションを持っている」という緊張感をもち続けることが重要である。
ポイント②:積立を過信しない
先述した通り、株価指数の動き方によっては、レバレッジ型投信を保有、あるいは積み立てていることが不利に働く。特に、株価が上下を繰り返すような相場環境においては、追加的なコスト(信託報酬)を負担してレバレッジ型を積み立てるよりも、シンプルなインデックスファンドのほうがコストも安く、素直にリターンを享受できる可能性が高い。また、積立に充てられる期間によっても、やはりレバレッジの効いていない、シンプルなインデックスファンドで積み立てたほうが有利なケースは多い。
ポイント③:指数の投資妙味とレバレッジは分けて考える
「レバナス」の積立を推す理由の1つとして、NASDAQ100指数の長期的な投資妙味が挙げられることが多い。確かに、長期目線に立てば、NASDAQ100指数には十分に投資妙味があるだろう。
しかし、株価指数そのものの投資妙味と、レバレッジをかけるかどうかは全く別の話である。繰り返しになるが、レバレッジをかけた場合、株価が一定の方向に動かないと期待通りのリターンは得られない。10年単位の長期的な株価指数の見通しと、足元でレバレッジをかけるかどうかは分けて考えたほうがよい。
どんなに便利なツールでも、基本的な使い方を理解していないと、思わぬ結果になったときになぜそうなったかが分からず、思考が停止してしまう。
圧力鍋がなくても料理はできる。投資家自身がネット上に拡散される情報に惑わされることなく、自分に何が必要かを見極められるよう、着実に基本を押さえる投資啓発を続けていきたい。